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工藤冬里展示 ヒトトロジー |Tori Kudo exposition hitotology 

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20/12/2020-27/12/2020
20,26,27th 13:00-19:00
22nd-25th 18:00-21:00
21st close

We will hold Tori Kudo exposition.
"hitotology" is Kudo's new pottery
made at the same time as the pandemic 2020.
It will be a vessel that connects the broken past
and the future
and regenerates the gathering place of people,
in " The Rock History ".

-工藤 冬里 |Tori Kudo-
陶芸家, 音楽家

愛媛県砥部の窯元にて,
独自のモチーフ,解釈
あるいは世相から発想された器など
他と一線を画す,孤一点の陶器を生み出す.

また70年代より音楽を手掛け
84年Maher Shalal Hash Baz主宰
国内外で不定形な様態にてパフォーマンスを行う.

近年は詩,映像も活動に組み込まれる

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2018
砥部の、耐えられない軽さ L'Insoutenable légèreté de Tobe ware|OTTO|東温, 愛媛
    鈞陶による陶冶或いは「君をおきて他心アダシゴコロをわが持たば陶スエの松山波も越えなむ」|音凪, 大阪
    火葬茶碗 cremated bowls |gallery ナベサン|吉祥寺, 東京
 ざんねんなやきもの磁展 |FALL| 西荻窪, 東京
    people who are left alive yet|R/SHOEIギャラリー|甲府,山梨/ 酒游舘|近江八幡, 滋賀/ 路地と人|水道橋, 東京
2019
「Garden clay festival」pand | 岐阜市, 岐阜
2020
「不器」酒遊館|近江八幡, 滋賀

-archive of exhibits in Rojitohito -
Tori KUDO Exhibitionやきもの店 "moving without Ark"
~ネルヴァルが首を吊った路地から スープ皿を主体に
17/12/2014 - 21/12/2014
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"People who are left alive yet"
22/12/2018 - 29/12/2020
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<ヒトトロジー相談室>
20:00-21:00
出演・回答 工藤冬里(陶芸家、音楽家)
司会・聞き手 窪田美樹(路地と人)
人との関わりや移動が制限され、
社会が萎縮し、個人も自粛してゆく状況ではありますが、
作家の器、表現を巡り、
それぞれの地の個の窓を開け、
砕かれたひとの集まる空間を蘇生する新しい時間の試みとして、
工藤冬里展最終日12月27日、
会期中に寄せられた器への質問、
また人生の悩み、迷いに作家が回答しました。

●:質問、相談|◆:回答

●土は生焼きってあるのか?
◆焼き物屋は普通は生焼きとは言わず、「これは生焼けだ」という風な言い方をします。ローフードのような生の土という状態の意味での質問かもしれないですが、それなら例えば萩の三輪良彦さんに、生の土を敷き詰めた上をジープで走って轍を作る、という作品があります。生焼きといえば、小麦粉を使って卵白のメレンゲを釉薬にして180度で20分焼いて器として作ったことがあります。ですから焼けば何でも焼き物で、生であるか焼き過ぎであるかは人の観点によって決まるということです。焼き物は土の場合は二段階ありまして、ひとつは最初に焼結という段階が来ます。それは全て化学変化でありまして、違う物質に変化する、つまり、土の状態から、固まった、端的に言えば水が漏れなくなる状態に変化することを焼結と呼んでいます。その状態になると、たいてい古墳で出てくる土器ですとか、陶器ですね、それらが焼けた土ということで、そこには化学変化が起こっております。その上にもうひとつ段階があります。それをガラス化vitrificationと呼んでいます。土がガラスになるということですね。どんな土でも高温を加えるとガラスになってしまいます。シリカという物質によってガラス化します。磁器というのはガラス化した土であると言えます。ガラス化がどのようにして判るかというと、透明になるんですね。ここにある白い磁器の焼き物を光にかざしてみると、透光性があるでしょう?光を通すでしょう?薄くしてランプシェードに使ったりもします。そのようにガラス化、vitrificatedされたものが究極ですから、磁器から見れば、他の全ての焼き物は生焼けであると言えます。土の中で焼き物に関係のあるのはカオリナイトと呼ばれる鉱物で7割のシリカ(酸化ケイ素)、3割のアルミナ、数パーセントのアルカリ土類金(ナトリウム、カルシウムなど)で出来ています。バーナード・リーチは、いみじくもこのような比喩を用いました。シリカを骨と考え、アルミナを肉と考え、アルカリ土類金を血で考えればよい、と。そして陶器は肉と血が多く骨が少ない、磁器は骨が多く肉と血が少ない。興味深いことに人体も、また人体のみならず地球もほぼその組成で出来ています。地球外はそのような比率になっていません。ここまでのひとつの結論では、磁器から見れば、他の全ての焼き物は生焼けであると言える、それがひとつの回答となっています。ということは、さらに深く突き詰めれば、これが最後の結論ですが、人間とは生焼けの土である、と言えます。創世記でも、神は地面の土で人を形作った、とあります。

●工藤冬里はどんな暮らしをしてるのか?山のなかにいるのか?
◆窯のそばには狐や狸や兎がいて、彼らには穴ぐらがありますが、ネカフェのリクライニングシートは完全に水平にはならないので私には身を横たえる部屋や枕がありません。

●ワイン杯の紫色の斑点はメルローのものか?
◆素材の元の色が、そのままの色で焼き物に現れることは、まずあり得ません。
葡萄色をしていても素材の葡萄灰からの色ではありません。あれは灰に含まれていた銅の成分により、期せずして釉裏紅的な発色となったものと思われます。ただ葡萄っぽい色が偶然出たというのは、因縁めいた、偶然の力も感じますよね。なので素直に喜んで良いのではないでしょうか。

●いま世田谷豪徳寺に住んでいるが、高尾に引越しを考えている。 引越しした方が良いか?(石採集家)
◆高尾のほうは土の色が黒い関東ローム層で、とても淋しいですが、火成岩はみつかるかもしれません。もうすぐ引っ越しどころではなくなるかもしれないので、してもいいと思う

●良い奴だけどお金のない友人に貸したお金を返してもらいたいが、もらわない方がいいのか?
◆これはよくTVで法律相談とかしていますよね。法律的には時効が十年だそうですね。ただ法律的なことを抜かすと、自分がもったいないとか、自分の問題であるので、自分さえよければだまし取られままにしていたほうが良いかなと思います。相手が今困窮しているなら催促しない方が良いですこれからの友達関係では証書を書くと良いかもしれませんね。一筆書くと、違ってきます。ただこれまでのは時効までは忘れたほうが良いのではないでしょうか。だまし取られるということも大事なことかもしれません。

●今まで仲良かった人から、急にディスられるようになった(演奏をダメだしされるなど) どうしたら良いか?
◆こういうことはよくありますよね。ほんとうの友達だったら言ってくれたほうがはるかに良く、率直な言葉を受け入れるかどうかは自分の問題なので自分に自信があれば受け入れて、そうだねと言えたら一番良いですね。自分を見直して。相手がどうしてそういうようなことを言うようになったかと洞察力をはたらかせると、全然違います。もしかしたら自分に原因があるのかもしれないし、相手の状況があるのかもしれないし、ソロモンという人が、紀元前10世紀に、愚かな人の歌を聞くよりも,賢い人の叱責を聞く方がよいと書いていますから、基本的には友達の率直な意見は、ありがたく聞くものではないでしょうか。

●悩みがない。悩みを持たないようにしているが、それで良いか。
◆悩みがないのは良いことだと思います。なければないでそれに越したことはないのですが、悩みがないことを悩んでいらっしゃるとしたら、昔の言葉で、貧しいものは幸いである、つまり欠落を自覚している人が幸いであるという言葉があります。どちらかといえば、生まれる日よりも死ぬ日のほうが大事だというところを押さえておいて、悩みがあることは自分に欠落があるということだからその悩みをとことん悩むと良いと思います。

●冷酒カップに付いてる黒い土は焼く前から黒いのか(石採取家)
◆山の中で採石場をみつけることがあります。採掘した石を洗った泥の層が粘土のようになっているのですが、それをもらってきて焼くと、溶けやすく、たまに面白い色が出ます。ある採石場からもらってきた泥には、変成玄武岩凝灰岩及び溶岩の成分が含まれていて、黒いです。他のものを混ぜないで単味で天目になるといういうのは、陶芸家にとっては夢のようなことでありまして、川喜多半泥子さんもどこかの山で見つけたらしいのですが、僕も何も混ぜないで黒い釉薬になるという土を見つけたんです。

●世界最小のネズミ、カヤネズミを畑に増やしたい。 増やすのにはどうしたら良いか?
◆カヤネズミはとっても可愛くて、家のなかにも入ってこないし、イネ科の植物の真ん中あたりに巣をつくるんですが、イネはあまり食べないんです。雑草のみを食べるので、ほんとうに良いネズミで、どんどん増えてもらいたいです。イネ科というのは干し草なんですが、東京に茅場町ってありますね、そこは牛馬が食べる干し草を刈る萱場だった訳ですが、茅場町を、コンクリートを剥がして野原にして、再び茅場にするプロジェクト、とか良いですね。

●漆はいま金継ぎブームだが、一度体験したあとは、漆から離れてしまう。 一過性のブームで終わらせないようにするにはどうしたら良いか?
◆漆はいろんな方法があります。一番簡単な方法はエボキシ系の接着剤とブロンズ粉で、テープで養生してからやると金継ぎそっくりの効果があります。食品を使う場合は化学系の接着剤は避け、いろんな方法があるので、自分なりの方法をマスターしてみつけると良いですね。金継ぎのひとつの話として、川喜多半泥子が窯を開けると、壺がひとつ割れて潰れていたと。普通ならそれを捨てるところですが、それを神戸の金継ぎの人に預けたところ、その人がきれいに金継ぎをして、金継ぎをした表面に細かい模様を描いて非常に艶やかなものなり、その補修された壺を「欲袋」と名を付けました。その壺は国宝になりました。普通ならば捨てるはずの割れた壺を金継ぎによって「欲袋」になったエピソードを語るとよいかもしれませんね。

●朝まで起きているのはやめたほうが良いか。 体調は悪いが、やめられない。(フリー編集者)
◆編集者って大体そんな感じじゃないでしょうか。普通は10時から2時まで寝るとレム睡眠で良いといいますね。でも人はそれぞれで、朝型の人もいれば、夜型の人もいますが、ビタミンDは日光に当たらないと生成されないので日中の活動は必要ですね。あるいは10時から寝て2時から起きているようにすると良いのではないでしょうか。クリエイティブな仕事って人によって集中できる時間が違いますね。例えば町田町蔵は夜明けに数時間執筆すると言っていましたから、自分の頭の冴える時間を特定して、それに沿って組めば良いのではないでしょうか。

●35歳になり、周りは家庭を持ったり家を買ったりしているが、自分はいまだに青春じみている。仕事もほんとうに好きなのかわからないまま、惰性で続けている。自分探しの旅はいつ終わるのか。(会社員男性、ハンドルネーム温泉まんじゅう)
◆自分探しの旅、大変なんですね、お察しします。自分探しという言葉は昔流行った言葉ですが、いまは使われなくなっています。なぜかというと、自分はない、探す自分はない、という考え方が膾炙しました。昔は考え方としてはあったのだけれど、共有はされてなかった。他の人の欲望が自分の欲望になっている、つまり自分とは自分の欲望を生きているのではなくて他者の欲望を生きているのだ、という実感が社会に広がって、自分探しという言葉自体が使われなくなったんですね。温泉まんじゅうさんの周りは家庭を持ったり、家を買ったりしてるということで、家庭を持つか持たないか、というのがひとつのジレンマになっているようですが、家庭を持つというのもプレゼントですが、独身状態というのも時間を自分のために使えるという点で素晴らしいギフトだと思います。どちらも良い贈り物で、家庭があるか、ないかということが基準にはならないですし、仕事がつまらないというのも良いことで、面白い仕事だと、かえって見えなくなることもあります。赤軍の奥平剛志さんの著書で「天よ、我に仕事を与えよ」というタイトルの遺稿集があります。天よって呼びかけてるから、普通の会社の仕事じゃないことが解りますよね。あとジャニス・ジョップリンのアルバムのなかに「work me load」という曲がありますが、それも訳したら同じ意味になります。賃金の仕事っていうのはつまらなくて当たり前なので、つまらないことは良いことだと思います。家庭がないのも仕事が合っているのかわからないのも、良いことであり、幸福とは関係ないことだと思います。そして自分探しはない、と。できることは鏡をみると言いますか、現在地を確認するということの方が重要で、自分を探さないで、今の自分の鏡を見よ、ということですね。

●就職した会社が次々と潰れる。どうしたら良いか。
◆それは会社を潰す人たちのほうが辛いのです。金策に走ったりして、自分の会社が潰れるというのは大変なことでありまして、彼らが辛いのであって、務めている人は務め先を変えればいいだけです。そういう業界から離れるのもいいかもしれません。仕える者のほうが、仕えている者より眠りは心地よく、お金は持っているひとのほうが、お金がないものより辛いのです。

●以前購入した器(白磁器)に工藤さんより「布団」と命名されたのですが、
その名前の由来は何でしょうか?
◆「(しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)」です。
春先に千曲川に降った雪が布団みたいに連なっているじゃないですか、
おそらくその布団のような雪を連想したからだと思います。
※回答は作家の個人の主観によるものです

by rojitohito | 2020-12-20 00:00 | 2020年終了イベント

JR水道橋駅のうら路地にある古い建物の2階で展示や催しを行う「路地と人」のサイトです


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