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木股忠明写真展【笑う流れ者木股忠明の思いで】

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流れて何処に行っちゃったのか・・・・6年になるかな誰も見ていない
でもね50過ぎた小父さん達がくすくす笑いで話すのだ
そして目を細め どっと笑う 
貴方が可笑しいんだ
貴方が好きなんだ
だからタイトルに偽りがある
カッコつけ過ぎました
笑うではなくて「笑っちゃう」なんだ
思いででは無くて「今」幸せに笑っているんです

若者よ 若者よ 若者よ 若者よ 若者よ
若者よ 若者よ 若者よ 若者よ 若者よ 若けェ人よ


吉田光を笑え そして驚愕せよ

※斜字ダダカン
※吉田光=木股忠明の労働者手帳名義


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木股忠明写真展「笑う流れ者木股忠明の思いで」
7月28日~8月4日
平日16:00~21:00程/土日13:00~21:00程


70年代後半~80年代、東京地下界を彷徨い、
そこに集う音楽家、パフォーマーたちを撮影していた写真家、木股忠明。
'82年、灰野敬二、工藤冬里、白石民夫、TACO、金子寿徳らを捉えた写真集「Alaska」を出版し、
その後 転々と放浪、六年前のある日、ふと姿を消したまま、現在は行方不明の 笑う流れ者。
いまはどこでどうしているのやら、、、
氏を想って 笑う者達が集う夜。

木股氏の撮影した写真、氏を映した映像、残された資料をもとに
ひとりの流浪の写真家の足跡を辿ります。



【笑う流れ者映像祭り】
7月28日 PM1:00開場 PM16:00上映開始
入場無料 投げ銭歓迎

・木股効果解析ノート其の1/30min
・かねこさん/作 安田哲/30min
・みんなの毛主席それと人民解放軍は人民に属す/21min
・香巴拉祭/撮影 菅谷伸一/90min
 2004.9.14 増田烈、E-chen
 2005.9.18-19 Blue Skil Cafe、Splash Contimental
 2006.9.17 マコ メロジー、水晶の舟、金子寿徳、イムタコウジ

【笑う流れ者番外録】身体を鍛えた者達が何かします
7月29日~8月4日20:00~/入場無料 投げ銭歓迎

 7月29日 原田淳子
 7月30日 ミック
 7月31日 鈴木美紀子
 8月 1日 井口淑子
 8月 2日 長谷川真子
 8月 3日 黒田オサム
 8月 4日 後飯塚僚、安田哲

記録:木股忠明写真展「笑う流れ者木股忠明の思いで」
2013年7月28日~8月4日
「笑う流れ者番外録」に寄せて/路地と人・原田淳子


2013年7月29日の木股さん、あるいは“木股さん”なるものへ

シミの匂いがする人だな、
初めて Alaska の写真を観たときそう思った

ひっそりと息をしているような壁のシミ
柔らかな煙
半音ズレた不協なものたち
ぶっきら棒な熱を含んだ壁のシミ

最初にKさんから木股さんの展示の話をきいたとき、
この展示は“きまたさーん”という展示です、とKさんは言った
それはどういう意味だろう

笑う流れ者
わたしはまだ “きまたさーん”を知らない

そして木股さん、
あなたは生きているのか、死んでいるのか、
わたしには それすらわからない

わたしは木股さんを捜し始める
あなたは誰と会って、何をみていたの?

木股さんに会ったことがある人に尋ねてあるく
ひとりふたりと訊いてはみたものの 誰に訊いてもよくわからない
木股さん?へんな人だよ、
不思議な人だったよ、
みな口を揃えてそう言うの、いまいち分からない

O.ワタルさんにも訊いてみた
木股さん?おかしな人だったねえ、、Kさんも相当おかしかったけど
木股さんの展示するの?大変だ、あはは、と笑って終わり

ギター弾きのS.美紀子さんによると
木股さんはカレー屋さんをしていたらしい、意外だ
そのカレーがおいしかったのか聞いたけど忘れてしまった
木股さんが何を言っているのか、
ときどきわからなかったとも言っていた

わたしは何を話しているかわからない話し方をする木股さんを想像する
あなたはどんなカレーを作っていたんだろう

何人かに尋ねあるいて、ひとつ解ったことは
みなが笑って木股さんのことを話すということだ
まるで狐につままれたような話をするみたいに、
可笑しいひともいるもんだよって
わたしもそのうち可笑しくなってきた

Alaska の写真だけでなく、
冤罪で逮捕されたり、チフスにかかったり、川に落ちて怪我したり、
家で祭りをしたりの “きまたさーん”、
生きているのか死んでいるのか、どこにいるのかわからないけれど
笑い笑われる木股さんがぼんやり浮かぶ

笑い笑われる人特有の居場所がある
生きながらにして死んでいるような臨界地点
そこにひょっこり居合わせてしまう人
あるいは本能でそこへ流れていくもの
きっと木股さんはそこにいる

仙人風情のK.オサムさんも笑いながら言った
不思議な人だよ、木股さんは、
この世の人ではないみたい

やっぱり木股さんは死んではいない、生きてもいないかもしれないけど

木股さんの笑いには 正義がない、勝ち負けがない
強いものが持つ臭みがない
ふにゃふにゃした軟体動物のようなその笑い
この笑いは後ろ向きに前に進んでいく

そしてこの可笑しさはズレからくるのだ
社会のある種の正しさからズレたときの笑い
はみ出して漏れ出してしまったものの笑い
哀しみを帯びた笑いは いつだって懐かしい

そしてこういう笑いの質は、きっとこれからどんどん失われていく
弱いことが許されない時代がやってくる
ズレることが許されない 暴力的な正義の時代がやってくる
ことばも うたも強いものが求められるだろう
酷い時代のなかで、木股さんのような不適合者の笑いは駆逐されていくだろう
木股さんはカナリアのように
それを察知して日本を出たんじゃないかしら
不適合者の野性の感として

そんなふうに思えて来たら、いまいなくてよかったのだとも思う
そこに流れ着いてよかったのだ

消息不明の生存不明だけれど、それでよいのだ
わたしたちが木股忠明なるもの 吉田光なるものを笑い
その笑いを思い出すこと
笑いで世界をズラすこと
穴をあけること
不協和を醸すこと
それがいま必要なのだ

きょうから毎日、
いまいる笑う者たちが 地を踏みならし、地をズラす
"きまたさーん"と 狼煙をあげる

流れ流れてその地まで、あなたにみえるだろうか


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写真:竹内美保

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【木股忠明関連資料】
■参照:都築響一さんによる裏窓での展示の記事(有料)
「笑う流れ者――アンダーグラウンド・フォトグラファー木股忠明の世界 ROADSIDERS' Weekly」

■参照:「全部・穴・会館 <ホール>」 
「写真展『笑う流れ者 木股忠明の思いで』 関連イベント─記録映像上映会

■参照:後飯塚研の日常「もう昔のものは、ほとんど」 
後飯塚研さんのパフォーマンスは8月4日、最終日に予定しています。
by rojitohito | 2013-07-23 16:38 | 2013年終了イベント

JR水道橋駅のうら路地にある古い建物の2階で展示や催しを行う「路地と人」のサイトです


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