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12.29 昔話語りの夜【唄え!メルヒェン】

来る12月29日の夜、
夕刻より路地と人では原田企画による昔話語りをします。
今年2012年は、グリム童話生誕200年の年、
この記念すべき年の終わりを、グリム童話で飾りたいと思います。

お話を時間ごと読んでいきます。
すきなときにお越しください。
入退場自由、入場無料です。
会場には、ささやかな食べものと飲みもの、
簡単な「昔話ってなあに?」のレジュメも置いておきますので、
セルフサーヴィスでお願いします。

例年、原田企画ひとりで淡々と読んでいる昔話ですが、
今年は特別に中西レモンさんにも参加していただいて、
ドイツの昔話を語っていただきます。

慌ただしい年の瀬ですが、ひととき、路地と人の扉を開けています。
街を散歩した帰りにお休みしたい方、
どこかいくあてもないけど、どこか行きたい方、
ただぼんやりしたい方も歓迎です。
ゆっくりと昔話を耳で楽しんでいただけたら幸いです。
みなさまのお越しをお待ちしています。
原田企画

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【唄え!メルヒェン】

現代では絵本や本など活字として触れることが多い昔話ですが、
もともと昔話=メルヒェン は、何百年ものあいだ、
無数の人々によって、口で語られ、耳で聴かれてきた形のない文芸で、
独特な語り口や物語のリズムをもちながら、
語り手によって語られる、その時間の中だけに存在してきました。

今から二百年前、1812年のクリスマスも近い頃、
ドイツのヤーコプ・グリムとヴィルヘルム・グリムの兄弟は、
失われつつあった口語りの物語を、人生をかけて採集し、一冊の本にまとめ、
「グリム童話集(原題:子どもと家庭のためのメルヒェン)」として出版しました。
かれらが採集することで人々の記憶の中から紡がれたメルヒェンは、
世界に広がり、いまでは日本のこどもたちにも広く知られています。

そしてその1812年の第1版から最終版の第7版(1857年)の45年のあいだに、
グリム童話も、語りの文学から読む文学へと形を変えてきました。
いま「グリム童話集」といわれるものは第7版のものが一般的になりますが、
25日には、口語りの要素がまだ残されている
「グリム童話集 第二版」(1819年版/小澤俊夫訳)から7話、抜粋して読みます。
(※参考文献)

幾世代にも渡って紡がれてきた昔話は、かたちのない種のようなもので、
そこには子どもたちがたくましく生きるための知恵と願いがこめられています。
そんな昔話は現代のこどもたち、そしておとなにとっても、
花/知恵となり、実/肉になるのではないかと思います。
また子ども成長や、生命のさまをあつかう昔話のなかには、
命を奪う残酷なお話もありますが、生まれ死にゆく生命の質と向き合うこと、
そこに昔話からのメッセージの本質があるようにも思えます。



“わたしたちがもとめているのは、
 不正なこともかくさない正直な物語の真実のなかにある純粋性です。
 …
 わたしたちはこの本を、善意の手にゆだねます。
 そこにひそんでいる、祝福してくれる力を信じながら。
 そしてわずかにのこったこれらの詩を、
 まずしい人、つつましやかな人たちによころんでわかちあえない人たちの目には、
 ふれないでほしいとねがっています。 1819年 カッセルにて”
 ヤーコプ・グリム、ヴィルヘルム・グリム「1819年第二版序文より」
(「グリム童話の誕生」小澤俊夫著一部抜粋)


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12月29日(土)18:00 - 22:00 入場無料、入退場自由
■語るおはなし

18:00 灰かぶり 20mini.
   40 神さまのけだものと悪魔のけだもの 8mini.

19:00 こわがることを習いに出かけた若者の話 25mini.
   40 ペテン師と大先生 8mini.

20:00 特別ゲスト:中西レモンさんによるドイツの昔話

20:50 名付け親になった死神 8mini.

21:00 白雪姫 25mini.
   40 星の金貨 8mini.


“…やがて、また別の男が近づいて来て、「わしを名づけ親にしなさい」といった。男は、
「おまえさんはだれだね」と、きいた。
「わしは死に神じゃ。わしは、すべてのものを平等にあつかう」すると男がいった。
「あんたがいい。あんたは金持ちも貧乏人も区別なしにつれていくからな。
 あんたに子どもの名づけ親になってもらおう」”「名づけ親になった死に神」



 “…あるとき、お父さんが下の子にいいました。
 「いいか、よく聞け。おまえは大きくなったのに、なんの役にもたちゃしない。
  兄さんはしっかりはたらいているぞ。
  おまえも、何かを習ってパンをかせがなきゃならない。
 「いや、お父さん。ぼくも何かを習いたいと思ってんだよ。
  できれば、こわがることを習いたいなあ。あれはまだ、ちっともわからないもので」と、
  下の子は答えました。”「こわがることを習いに出かけた若者の話」


“昔むかし、あるところに、小さな女の子がいました。
 女の子は、お父さんもお母さんも死んでしまって、ひとりきりでした。
 とてもまずしくて、住む家もなければ、ベッドもありません。
 しまいには、今、着ている服と、手に持っているひときれのパンのほかは、
 何ひとつなくなりました。”「星の銀貨」



■※参考文献
小澤俊夫「グリム童話の誕生 聞くメルヒェンから読むメルヒェンへ」朝日新聞出版
小澤俊夫「昔話の語法」福音館書店
「完訳グリム童話」小澤俊夫訳/ぎょうせい
「語るためのグリム童話」小峰書房/監修:小澤俊夫/再話:小澤昔ばなし研究所

■ゲスト出演者プロフィール:
中西レモン(節語り・口説き唄)
ぶらぶらしてるひと。江戸時代の絵とか、ダンス・パフォーマンスとか、節語り・口説き唄とか、いくつか興味を持つものがあります。物見して歩くのも好きです。アウトプットは絵や字だったり、体を動かしたり、声を出したり、ち○○ん出したり、企画をしたりとその時々なので、こういうこともひっくるめて、「ぶらぶらしてるひと」だと。
by rojitohito | 2012-12-26 20:51 | 2012年終了イベント

JR水道橋駅のうら路地にある古い建物の2階で展示や催しを行う「路地と人」のサイトです


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