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懐烟画譜

画論を読む茶話会に並行して、画譜に習う筆墨の集まりを始めます。

鉛筆と洋紙ノートの普及以前、日本では中国の漢字文化圏の下育まれた筆墨による筆記が専ら行われておりました。

当然絵画においても同じ道具が用いられたわけですが、さて、その時代の絵画学習は一体どのように行われていたのでしょう。

例えば、絵師の徒弟となった場合には、師匠の描いたお手本を模写することで、筆の使い方、モチーフの捕らえ方などの基礎を築き、その上で古きを守るに務めたり、さらに自らの特色を工夫し盛り込むなどしながら一人の画風を育む、といった大まかな学習過程があったようです。

また、さまざまな絵を見るために寺社や個人宅を訪ね、手控えに簡略にその構成を写し取ったり、場合によってはその絵を借り受けてこれを実寸大で模写をする。それは、今日のように印刷物や画像データで多様な絵画を手軽に見られる状況にはなかった時代に、彩色法や筆法などの技術、画面構成、各種画題と、さまざまな情報を獲得するための必要手段でもあったことが想像されます。

江戸時代、町人階層が豊かになるにつれ、出版も次第に盛んになってゆきます。
それまでは師弟関係を中心として得られるものであった上記の絵画に関する情報もまた、版に起こされるようになります。これに先行して、中国大陸では明末清初にかけて出版が盛んとなり、挿絵から展開して図像を集めた書籍、そして絵画に関する書籍の出版が行われました。これらは儒者らの手を介す等して日本へも輸入・紹介され、写本の作成はもとより、それら国内版の作成や、絵師による各種翻案版の作成にいたるなど、以後絵画へ出版物へと影響をもたらしました。

この会では、こうした画譜をもとに実際に写本を作成しながら、筆墨で行う絵画学習を追体験し、また、今日どこか断絶した感のあるその造詣意識にとゆるやかに触れる機会にしていければと考えております。この作業が、体験者それぞれの造詣意識や文化史上の問題意識にと結びついて、何がしか今日なりの可能性を再発見するための手掛かりになれば、と願ってもいるわけです。

この会では、まず自分の使うノートを半紙でつくるところから始めます。
そして写本を作成する為のテキストは先ず『芥子園画伝』から始めたいと思っております。『芥子園画伝』は、江戸時代中期以降の日本の漢画に新たなシーンを築き、その学習の支えとなったといっても過言ではない、理論書と図録を兼ねたテクストと云えましょう。

月一回、それぞれのペースで、筆墨に親しむ機会にとしていければと考えておりますので、小学校・中学校以来という方も、書道のお道具をお持ちいただき、お気軽にご参加いただければと思っております。なお、ご参加の方は各自墨(固形の物)と筆をお持ち下されたく存じます。
一人一巻の写本『芥子園画伝』が揃う日を楽しみに。
(中西レモン)


懐烟画譜によせて
 少し前まで、街中で歩いていても書き慣れた毛筆の注意書きなどを見かけることがあったが最近ではめっきり見ることがなくなった。恐らくは二十年ほどのことかと思うが、これに気づいたのは大阪千日前の書店で行草の商品紹介を掲示をしているのを見たときである。
主人の趣味もあるのだろうけれども、確かにこの様な掲示は見たことがあったから、かかる書店の掲示は習慣を変えないままきてしまったのだろうと思われた。
行体は読めるにせよ、現在草体はどれくらいの人が読める、いや文字として目にとめるだろうかと同時に感じたのを覚えている。だいたい手書きの掲示物すら一部の寺院で見るくらいしかもう見かけなくなった世間ではある。その中で手書きを模した書体もあり、手書きそのものも数ある趣味の一部と漠然と分類されるという感もある。

文化とは不断に更新されるがその足音は静かなようである。私はさまざまの変化に無頓着であるが、あるときある拍子に、私たちが過去に親しんだ、ある習慣が思い出されることがある。その時間的な飛躍は優に一世代を超えて、我々がしたこともない髷を頭に乗せていた頃が立ち現われることもあるのである。

たとえば何かしらかの色のある粉をつなぎを入れて練った物をまた溶いて、それを毛を束ね、それに持ち手として棒をつけたものを使い筆記する事は、絵を描いた経験ある者にとってみれば日常茶飯である。
この行為の単純は今回対象としている墨を使った画が描かれたところと全く変わりがないのである。
ひとたび各々比較すれば、自ずと似ているところを見、また如何してか似ていないところも認めることになるだろう。

たまさか我々の遊ぶ文化の持つ起伏の上を、親しみと新鮮さを以って散策してみることとしよう。
(高村健志)


・・・・・



懐烟画譜

ゆるやかに画譜を模写しながら筆墨に親しもうという集まりです。

8月31日(水)※月1回の開催予定(都合により9月の会は8月末に行います。)
時間 19時〜
場所 路地と人
参加費1000円
初回の方も歓迎。半紙を用いて今後使うノート作りから始めます。要予約(rojitohito@gmail.com)初回の方は素材・資料代で1500円


*内容は、『芥子園画伝』を筆頭に順次画譜の写本作業を、それぞれのペースで進めます。
ご希望の画譜がある場合にはご相談ください。

参加希望の方・・・小中学校時代にお使いの書道セットをお持ちの方は書道セットをご持参下さい。
また、書道セットをお持ちでない方は、ご自身の筆(小筆で大丈夫です)と墨(固形の物)をお持ちください。
会を継続される方でご希望の方には、道具購入の相談に応じます。懇切丁寧にあてずっぽうの情報をお伝えいたします。


・・・・・


高村健志
昭和59年10月23日神戸市生まれ、通算引っ越し回数7回を経て画家、現在に至る。

中西レモン 
ぶらぶらしてる人。あれこれ首をつっこんできまして、このごろは庶民の唄と踊りと物語、あと絵画にも関心が回帰してきているようです。
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by rojitohito | 2016-08-31 00:00 | 2016年終了イベント | Comments(0)

朗読室

〜[a:]からはじめる〜



「読書と朗読」




なにかに誘われて
偶然
馨りたつことば

出会ったなら
ことばを眼で追うこと
だけでは飽き足らず
自身の息を声にのせて、ことばにして
眼で味わい
耳で味わい
声にした感触を舌で味わいながら
余韻やそこから生まれた想像をも
その場で起きた変化として
この身体まるのままで味わいたくなる。

それを読むとよぶのなら
なんと奥深いことだろう。

最後にひとこと。

ごちそうさまでした。

**

現在制作中の
冊子[a:]
と連動する形で、
新しく朗読室を開いております。

[a:]編集長の佐々木智子さんを
アドバイザーとしてお招きし、

冊子の中で扱われる
キーワードに焦点をあて
実際に
身体から考えていきます。

今回は原点にかえり
読書ということについて
あらためて触れられたらと思います。

すでにある誰かのことば
今生まれているじぶんのことば
声にしたいことばを持ってお越し下さい。
聴きたいだけでも構いません。

お待ちしております。

***

【朗読室〜[a:]からはじめる〜 7 】

「読書と朗読」

期日:8月23日(水)19:30から2時間くらい

入料室:500円(肴付き)

場所:路地と人

*途中入退室自由

ことばのこえの企画 クゼナミコ、企画協力/[a:]編集長 佐々木智子)



※冊子[a:]
冊子[a:]第1号では、生活環境や芸術といったジャンルを問わずに、「ことば」について考えます。形のないコトバ、表れとしてのことばについて考え実験する試みです。
冊子名の[a:]は発音記号に由来。


※佐々木智子
青森県生。
2013年まで、Yotsuya Art Studiumに在籍。
在籍中の課題を通して、平面・絵本の制作を始める。
現在、平面・絵本・詩の制作。
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by rojitohito | 2016-08-23 00:00 | 2016年終了イベント | Comments(0)

懐烟画譜

画論を読む茶話会に並行して、画譜に習う筆墨の集まりを始めます。

鉛筆と洋紙ノートの普及以前、日本では中国の漢字文化圏の下育まれた筆墨による筆記が専ら行われておりました。

当然絵画においても同じ道具が用いられたわけですが、さて、その時代の絵画学習は一体どのように行われていたのでしょう。

例えば、絵師の徒弟となった場合には、師匠の描いたお手本を模写することで、筆の使い方、モチーフの捕らえ方などの基礎を築き、その上で古きを守るに務めたり、さらに自らの特色を工夫し盛り込むなどしながら一人の画風を育む、といった大まかな学習過程があったようです。

また、さまざまな絵を見るために寺社や個人宅を訪ね、手控えに簡略にその構成を写し取ったり、場合によってはその絵を借り受けてこれを実寸大で模写をする。それは、今日のように印刷物や画像データで多様な絵画を手軽に見られる状況にはなかった時代に、彩色法や筆法などの技術、画面構成、各種画題と、さまざまな情報を獲得するための必要手段でもあったことが想像されます。

江戸時代、町人階層が豊かになるにつれ、出版も次第に盛んになってゆきます。
それまでは師弟関係を中心として得られるものであった上記の絵画に関する情報もまた、版に起こされるようになります。これに先行して、中国大陸では明末清初にかけて出版が盛んとなり、挿絵から展開して図像を集めた書籍、そして絵画に関する書籍の出版が行われました。これらは儒者らの手を介す等して日本へも輸入・紹介され、写本の作成はもとより、それら国内版の作成や、絵師による各種翻案版の作成にいたるなど、以後絵画へ出版物へと影響をもたらしました。

この会では、こうした画譜をもとに実際に写本を作成しながら、筆墨で行う絵画学習を追体験し、また、今日どこか断絶した感のあるその造詣意識にとゆるやかに触れる機会にしていければと考えております。この作業が、体験者それぞれの造詣意識や文化史上の問題意識にと結びついて、何がしか今日なりの可能性を再発見するための手掛かりになれば、と願ってもいるわけです。

この会では、まず自分の使うノートを半紙でつくるところから始めます。
そして写本を作成する為のテキストは先ず『芥子園画伝』から始めたいと思っております。『芥子園画伝』は、江戸時代中期以降の日本の漢画に新たなシーンを築き、その学習の支えとなったといっても過言ではない、理論書と図録を兼ねたテクストと云えましょう。

月一回、それぞれのペースで、筆墨に親しむ機会にとしていければと考えておりますので、小学校・中学校以来という方も、書道のお道具をお持ちいただき、お気軽にご参加いただければと思っております。なお、ご参加の方は各自墨(固形の物)と筆をお持ち下されたく存じます。
一人一巻の写本『芥子園画伝』が揃う日を楽しみに。
(中西レモン)


懐烟画譜によせて
 少し前まで、街中で歩いていても書き慣れた毛筆の注意書きなどを見かけることがあったが最近ではめっきり見ることがなくなった。恐らくは二十年ほどのことかと思うが、これに気づいたのは大阪千日前の書店で行草の商品紹介を掲示をしているのを見たときである。
主人の趣味もあるのだろうけれども、確かにこの様な掲示は見たことがあったから、かかる書店の掲示は習慣を変えないままきてしまったのだろうと思われた。
行体は読めるにせよ、現在草体はどれくらいの人が読める、いや文字として目にとめるだろうかと同時に感じたのを覚えている。だいたい手書きの掲示物すら一部の寺院で見るくらいしかもう見かけなくなった世間ではある。その中で手書きを模した書体もあり、手書きそのものも数ある趣味の一部と漠然と分類されるという感もある。

文化とは不断に更新されるがその足音は静かなようである。私はさまざまの変化に無頓着であるが、あるときある拍子に、私たちが過去に親しんだ、ある習慣が思い出されることがある。その時間的な飛躍は優に一世代を超えて、我々がしたこともない髷を頭に乗せていた頃が立ち現われることもあるのである。

たとえば何かしらかの色のある粉をつなぎを入れて練った物をまた溶いて、それを毛を束ね、それに持ち手として棒をつけたものを使い筆記する事は、絵を描いた経験ある者にとってみれば日常茶飯である。
この行為の単純は今回対象としている墨を使った画が描かれたところと全く変わりがないのである。
ひとたび各々比較すれば、自ずと似ているところを見、また如何してか似ていないところも認めることになるだろう。

たまさか我々の遊ぶ文化の持つ起伏の上を、親しみと新鮮さを以って散策してみることとしよう。
(高村健志)


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懐烟画譜

ゆるやかに画譜を模写しながら筆墨に親しもうという集まりです。

8月1日(月)※月1回の開催予定
時間 19時〜
場所 路地と人
参加費1500円(素材・資料代)
半紙を用いて今後使うノート作りから始めます。

*初回は、半紙を用いて今後使うノート作りから始めます。次回からは、『芥子園画伝』を筆頭に順次画譜の写本作業を、それぞれのペースで進めます。
ご希望の画譜がある場合にはご相談ください。

参加希望の方・・・小中学校時代にお使いの書道セットをお持ちの方は書道セットをご持参下さい。
また、書道セットをお持ちでない方は、ご自身の筆(小筆で大丈夫です)と墨(固形の物)をお持ちください。
会を継続される方でご希望の方には、道具購入の相談に応じます。懇切丁寧にあてずっぽうの情報をお伝えいたします。


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プレイベント

懐烟茶話、懐烟画譜の合同企画のおさんぽ。


今年四月から気流舎にて月1にて開催中の懐烟茶話と合同でお散歩に出かけます。
東京国立博物館・東洋館にて市河米庵旧蔵の中国美術ほか、本館にて日本の書画を観覧の予定です。終了時間次第では、その後書道用品店へも伺えればと思っております。

7月18日(月・海の日)
14時、東京国立博物館正門前集合
参加無料(*観覧料は各自でお願いします)





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高村健志
昭和59年10月23日神戸市生まれ、通算引っ越し回数7回を経て画家、現在に至る。

中西レモン 
ぶらぶらしてる人。あれこれ首をつっこんできまして、このごろは庶民の唄と踊りと物語、あと絵画にも関心が回帰してきているようです。
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by rojitohito | 2016-08-01 00:00 | 2016年終了イベント | Comments(0)

JR水道橋駅のうら路地にある古い建物の2階で展示や催しを行う「路地と人」のサイトです


by rojitohito